【医療/福祉/商業施設など】非常用発電機のメンテナンス(負荷試験)
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非常用発電機負荷試験とは
非常用発電機の負荷試験とは、消防法の総合点検(年1回)で実施が義務付けられている点検のひとつです。
平成30年に厳罰化されるものの、法律の改正を把握しておらず、実施していない、つまりは法令違反をしてしまっている事例が少なくありません。
試験概要
- 消防設備が稼働するために必要な発電出力が出るか確認する試験のこと
- スプリンクラーや消火栓ポンプなどを動かす力を「負荷」と呼びます。
それらの「負荷」を疑似的に発生させ、非常時に消防設備が稼働するのに必要な発電出力が出るかを確認するために「負荷試験」を行います
対象施設
- 1000㎡以上の不特定多数の人が出入りする建築物や火災発生時に避難が困難な施設
- 例えば、映画館、百貨店、ホテル、病院など特定防火対象物を設置している建物には非常用発電機の点検の義務があります。
特定防火対象物
不特定多数の人が出入りし、且つ火災などが発生した際に人命に関わるなど大きな被害に発展するリスクが高い建物のこと
実施していないとどうなるのか
罰則規定が存在
罰則を受ける対象者は、法人及び法人の代表者・従業員等で、
代表者だけではなく、防災担当の任命を受けた担当者まで罰則の対象となりました。
罰則対象 | 30万円以下の罰金または交流、最高で1億円の罰金及び刑事責任 |
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罰則内容 | 点検報告をしない者または虚偽の報告をした者(消防法第44条11号)、 上記従業員等の法人(消防法第45条3号) |
加入保険がおりない可能性
適切に点検を実施しないことにより、有事の際に非常用発電機が作動せず、
事故が起きた場合には、保険会社の補償がおりない可能性が高いです。
人命に影響する事故に繋がるリスク
非常用発電機は、消火活動に必要なスプリンクラーや消火ポンプを動かすための大切な設備です。
実際に動作しなかった場合には、消火活動が遅れ、被害が拡大する恐れがあります。
試験方法はどのようなものがあるのか
負荷試験は「実負荷試験」、「疑似負荷試験」 の2 つの方法があります。
疑似負荷試験 | 実負荷試験 | |
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メリット | ・試験時間が短い(約2時間) ・試験時に、停電をさせる必要がない ・実負荷と比べて金額が安価 ・30%の負荷をかけることで未燃焼燃料やカーボンを除去することが可能 | ・実際に設備を起動させ、消防設備への送電状態を確認できる |
デメリット | – | ・試験が長い(約8時間) ・試験時に一部、または全停電をさせる必要がある ・疑似負荷と比べて金額が高価 ・未燃焼燃料やカーボンを除去することが出来ないため、 発電機がトラブルを起こす可能性がある |
① 実負荷試験
実際にその該当する建物を停電にさせ、発電機と接続されている防災設備、スプリンクラーや消火ポンプを全て発電によって稼働させ、計測する方法。
② 疑似負荷試験
専用の装置を使用し、疑似的に「30%」の負荷を発生させ、計測をする方法。
負荷試験以外にも、「内部監察点検」「予防的保全策」があります
内部監察点検 | 予防的保全策 | |
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メリット | ・点検時に、停電をさせる必要がない ・未燃焼燃料やカーボンを清掃により除去が可能 | ・1年毎に実施することで、 負荷試験の実施頻度が毎年から6年に1回に軽減される |
デメリット | ・点検費用が最も効果 ・分解を伴う点検のため、点検中は発電ができない ・作業時間が数日かかる ・点検時には代替電源の設置が必要になる(※別途費用発生) | ・費用が負荷試験に比べて効果 ・実際に発電機に負荷をかけてうごかしていないため、 有事の際に稼働するか確認が取れない |
③ 内部監察点検
エンジン、排気管内部等を内視鏡等により確認、燃料噴射弁の動作や、冷却水・潤滑油の成分分析を行い、劣化、摩耗や損傷の状況を確認する方法。
④ 予防的保全策
メーカーが推奨する部品 エンジンオイル・不凍液・オイルエレメント等 を交換し、その交換履歴書を提出する方法。
費用、発電機の性能確認の面から考えて、「疑似負荷試験」が最もお勧め
法律上は『負荷試験』『内部監察および予防的保全策』のどちらかを実施すれば良いこととなっております。
ですが、負荷試験により発電機が正常に動くことが確認できていても、内部監察および予防的保全策で確認することとなっている冷却水やオイルに劣化が見られた場合は、発電機自体に悪影響を与え、故障に繋がる 発電機が動かなくなる恐れがあります。
逆に、内部監察および予防的保全策を行っていても、実際に負荷をかけて発電機を動かしているわけではないため、正常に発電機が稼働する 停電時に確実に電源を供給されるとは限りません。
結論・実施する内容
そのため、法律を遵守するために必要な点検を行いながら、実際に発電機が稼働するために必要な点検も合わせて行います。