カーハーネスから銅ナゲット製造開始
株式会社マルトシ青木 様
- 業種
- 自動車リサイクル
- 主な対象物
- カーハーネス
- 目的
- ハーネス線を資源物化
- 導入設備
- 銅ナゲット製造ライン
静岡県藤枝市に拠点を置き、自動車リサイクル事業を展開するマルトシ青木様に銅ナゲット製造ラインを納入頂きました。
NGPグループ企業でもある同社に、設備導入背景や今後の展望をお伺いしました。
中国輸出規制が検討の始まり
2017年、中国政府が自国の環境保護、リサイクルループの構築を目的に、海外からの廃棄物や準ずる資源物の輸入を段階的に廃止していく方針を発表しました。自動車に使われているハーネス線も、雑線の類として輸入規制対象に該当します。
従来ハーネス線は中国輸出されることが多かった為、マルトシ青木様としても「このままでは売却先が無くなる」「売却単価が下落して減益となる」といった懸念を持たれていました。自社内でハーネス線を資源物化する事が出来れば、売却益での収益改善に加え、国内や海外輸出においても売却しやすくなる利点があると考え、自社内での銅ナゲット製造事業を検討されました。
懸念点を解決して実現
自動車リサイクル業界では既に銅ナゲット製造事業に取り組まれている企業が存在し、複数社の設備見学をされました。銅ナゲット選別機の第一印象としては、破砕時の音が非常に大きく、相当な防音施設が必要だと考えられていました。また、従来の銅ナゲット製造機は水を使った湿式の選別方式設備が多く、排水処理も事業実現に向けての課題と感じられていたそうです。
その後、弊社から銅ナゲット製造機のご提案をさせて頂き、愛知県内の導入企業を見学頂きました。他社設備と比べ、騒音が小さく特別な防音対策が不要そうな点、また風と振動で選別し水を使わない方式のため検討課題が解決され、導入を決めて頂きました。「ものづくり補助金」を活用した設備導入をご検討されていたため、申請書類に必要となる業務も弊社にてお手伝いさせていただきました。
今回導入した設備は、プリシュレッダーで廃電線の一次破砕を行い、銅ナゲット製造機に定量供給します。高速回転で粉砕する箇所にはカバー、防音シールも付いている為、遮音性が高い事が特長です。そして、更に収支性を上げる為に、銅ナゲット製造機の後工程に円形ふるい機を設置することをご提案しました。カーハーネスは端子部分に真鍮やアルミが使われており、比重差選別のみだと重量側(銅ナゲット側)にアルミや真鍮も排出されます。銅の純度を高める為に、加工後の粒度で分級し、より純度の高い銅ナゲットを抽出できます。
処理前
処理後
今後の事業展開
株式会社マルトシ青木様は、今年で創業50年の節目を迎えられました。自動車分野に特化している事業形態の為、今後も既存事業から派生した展開を考えており、リサイクル分野以外での新規事業も計画されております。
また、世界中の自動車メーカーが本格的に電気自動車を生産していく方向性のなか、日本国内でも徐々にガソリンエンジンの使用が減ると考えられています。自動車の軽量化および燃費改善のために、自動車のボディー自体アルミの採用が増える可能性もあります。リチウムイオンバッテリーのリサイクル需要も増えていきそうです。今後も自動車を軸に社会変化に対応した事業展開を行っていきたいと伺いました。
積極的に環境活動に取り組む
株式会社マルトシ青木様は、NGP日本自動車リサイクル事業協同組合に加盟され青木常務は副理事を務められています。NGPではSDGsを掲げ様々な環境保全・再生活動を行っており、最近では廃棄物の不法投棄で問題となった柚の浜で近辺の清掃や、瀬戸内オリーブ基金を通じて育てているオリーブの収穫を行いました。
環境保全活動以外でも、廃自動車を扱う企業として、地元の警察や消防署へ救助訓練のために廃車の貸し出しを行っております。最後に取材した青木常務からは、「今後も地元に貢献しながら、社会変化に対応した事業展開を通じ、業界全体でより良い社会実現に貢献出来ればと考えています」とお言葉頂きました。
株式会社マルトシ青木
不要になった車、事故車などの廃車でも、再利用できるリサイクル部品として、素材として再生できる鉄やアルミなどの素材を丁寧に分類し、環境にやさしい地球環境を大切にする企業です。