廃プラスチックの処理料金、52%が「値上げした」(環境省アンケート調査)
2016年度には、日本国内の約25%の使用済みプラスチックが海外に輸出されており、その多くが中国に輸出され、再資源化、最終処分が行われていました。しかし、2017年に中国が使用済みプラスチック等の輸入を禁止する措置を行い、使用済みプラスチックを国内処理する必要が生じました。
中国の使用済みプラスチックの輸入禁止から約1年半が経ちました。影響を調べるため、環境省が自治体・廃棄物処理業者へアンケート調査を行っています。2019年2月~3月にかけて行われた調査で、187の事業者が回答しています。
調査は、2018年8月に引き続き2回目ですが、国内の廃プラスチック処理は厳しい状況が続いているようです。
30%以上の事業者で廃プラスチックの受け入れ制限が行われる
中間処理で廃プラスチックの受け入れ制限をしているのは、37%。昨年の22%に比べ、15ポイントも増えています。処理能力が限界を迎え、顧客からの要望を泣く泣く断らざるを得ない状況が垣間見えます。
業種別、廃プラスチックの受け入れ制限
2018年8月
2019年2~3月
料金の値上げも増加
処理料金の値上げを行った中間処理場は、昨年の42.8%から52.5%に増えています。収集運搬、最終処分も同様に値上げ実施の事業者が増えていますが、特に最終処分は昨年に比べて20ポイントも増えています。
値上げの理由は、収集運搬・中間処理では焼却処分費用の増加が最も多く、最終処分では人件費や燃料費の増大が主な理由です。
処理費用増加分の料金への反映は、過半数がおおむね反映できていると回答しています。一方で料金に反映できていない理由として最も多かった理由が「コスト上昇分が大きすぎる・コスト上昇が早くて追い付かない」ということから、事業環境の急激な変化がうかがえます。
廃プラスチックの処理料金の値上げ
2018年8月・中間処理
2019年2~3月・中間処理
2018年8月・収集運搬
2019年2~3月・収集運搬
2018年8月・最終処分
2019年2~3月・最終処分
処理能力の増強が追いつかない
処理能力の増強に関する質問では、昨年22.4%だった能力増強の予定が31.7%に増えています。しかし、他のアンケート調査の回答を見ると国内処理が必要な廃プラスチックの増加量に追いついていないのが現状のようです。
人口減少が始まっている日本では、長期的に廃棄物が減ることが考えられます。海洋プラスチック問題などから脱プラスチックの機運も高まっており、大規模な設備投資のかじ取りは難しい判断が必要になっています。
処理能力増強の予定
2018年8月
2019年2~3月
新しいニーズに合わせた設備・ソリューションをご提案いたします
各種アンケートから、国内の廃プラスチック処理が間に合っていない状況がうかがえます。
行政側でも、廃棄物処理設備の効率向上の設備に補助金を出す、一時保管量の上限を増やす、自治体の焼却施設に産業廃棄物の受け入れを要請する、などの施策を行っています。
近年では、自治体の処理能力を完全に超える台風・豪雨などによる災害廃棄物の処理も問題になっています。
また、現状は廃棄物処理が逼迫していますが、長期的には減少が予想されるなど状況は複雑さを増しています。産業資源の処理に関して、新しい枠組みや考え方が必要な時代になっているのかもしれません。
フジテックスでも新しい時代、新しいニーズに合わせた設備・ソリューションを調査・研究してお客様にご提案して参りたいと思います。
出典
- 「平成30年度下期 外国政府による廃棄物の輸入規制等に係る影響等に関する調査結果 報告書」環境省環境再生・資源循環局(令和元年5月)
- 「平成30年度 外国政府による廃棄物の輸入規制等に係る影響等に関する調査結果 報告書」環境省 環境再生・資源循環局(平成30年10月)