令和7年度(2025年度)概算要求から注目事業ピックアップ

令和7年度(2025年度)概算要求から注目事業ピックアップ

環境省の令和7年度概算要求が発表され、要求額の総計が8,704億円(対昨年度比149%アップ)となりました。
一般会計:1,730億円、エネルギー対策特別会計(GX推進対策費除く):2,186億円そのほかGX推進対策費として2,318億円の計上となっています。

今回の概算要求では、第六次環境基本計画における持続可能な社会の実現を目指し、地域共生型再生可能エネルギーの普及、脱炭素社会への移行、グリーンファイナンスの推進といった戦略を掲げています。
また、環境と経済・社会の調和を目指し、地域循環共生圏の拡大や環境スタートアップの支援といった取り組みを進めるなど、科学技術・イノベーションの社会実装につなげることも示されていました。

■ 国内展開
第一の柱「脱炭素でレジリエントかつ快適な地域・くらしの創造」
第二の柱「バリューチェーン・サプライチェーン全体の脱炭素移行の促進
第三の柱「地域・くらしの脱炭素化の基盤となる先導技術実証と情報基盤等」

■ 海外展開
第四の柱「世界の脱炭素移行への包括支援

国内・海外あわせて4つの大きな事業のなかから、環境カタログをご覧いただく方に特にお伝えしたいのは、第二の「「バリューチェーン・サプライチェーン全体の脱炭素移行の促進」」に該当する注目の2事業をピックアップしてお伝えします。
※()内は令和6年度当初予算等です。

先進的な資源循環投資促進事業(経済産業省連携事業)

令和7年度要求額 【事項要求】(5,000百万円)
この事業は、環境省がCO2排出削減が難しい「Hard-to-Abate産業」に対し、排出抑制を支援するために実施するものです。また、革新的なGX(グリーントランスフォーメーション)製品の生産に必要な高品質リサイクル材料の供給を促進します。

本事業の目的

■ CO2削減が困難な産業への支援
産業ごとに課題の異なる排出削減を支援し、脱炭素経営を加速するための設備を導入。具体的には、金属の高度選別設備や廃プラスチックの再資源化設備などが含まれます。

■ GX製品向けリサイクルシステムの強化
サーキュラーエコノミー(循環型経済)を実現するため、国内外で使用できるリサイクル技術の導入を支援。再生原料の活用によって生産効率を高め、GX製品に必要な資材の確保を目指します。

事業の対象と実施期間

補助対象:民間事業者、大学、研究機関、団体など
実施期間:令和6年度~
補助率 :1/3または1/2の支援を提供

本事業のポイント

■ 新たなビジネスチャンスの創出
産業廃棄物がリサイクル素材として再評価される中、廃棄物処理の高度化や資源の再利用が、将来的に安定した収益をもたらす可能性があります。

■ CO2排出削減の取り組みで競争力を強化
自社のブランド価値を高めるだけでなく、業界内での競争力向上にもつながります。CO2削減に資する技術・設備への投資を進めることで、補助金の活用も可能です。

■ 地方創生や循環経済の中心的役割を担う機会
再エネ利用や循環型社会の構築を支えるパートナーとして、地域社会と共に成長することが期待されており、持続可能な発展の核となる存在になりえます。


出所:先進的な資源循環投資促進事業(経済産業省連携事業)/ 環境省


プラスチック資源・金属資源等のバリューチェーン脱炭素化のための高度化設備導入等促進事業

令和7年度要求額 5,980百万円(3,761百万円)
この事業は、プラスチックや金属資源の循環利用を促進し、持続可能な社会への転換を目指す取り組みです。高度なリサイクル設備の導入を通じて、CO2削減と効率的な資源利用を両立させ、サーキュラーエコノミー(循環経済)の確立を支援します。

本事業の目的

■ プラスチック資源循環の促進
プラスチックを廃棄せず、再利用可能な高品質素材に変換するための選別技術を普及します。メーカーやリサイクラー、自治体を対象に、資源回収から製造に至るまでの一連のプロセスを支援します。

■ 再エネ対応型設備の導入
電子機器のリサイクルにも対応した高度な施設を設置し、太陽光パネルやバッテリーの再資源化を進めます。

■ サーキュラーエコノミーの構築と脱炭素化
この事業では単なる資源回収にとどまらず、設計から廃棄までのバリューチェーン全体を最適化することが目標です。廃プラスチックや金属資源の適切なリサイクルにより、製造コストを削減しつつ脱炭素社会への移行を目指します。

事業の仕組みと支援内容

補助率:1/3または1/2
対象:民間事業者や団体
実施期間:令和5年度から令和9年度まで

本事業のポイント

■ CO2排出削減と高度なリサイクル体制の構築
プラスチックや金属資源に関する高度なリサイクル設備の導入を支援し、CO2削減を促進。これにより、廃棄物業者が脱炭素社会の実現に貢献しつつ、自社の事業範囲の拡大につながります。

■ バリューチェーン全体での循環経済への貢献
製造から廃棄、再利用に至るまでのバリューチェーン全体を通じた脱炭素化が求められ、廃棄物業者は資源の再利用を支える重要なパートナーとして、循環型経済の中核を担う役割を果たす可能性があります。

■ 補助金を活用した事業拡大と競争力強化
1/3または1/2の補助金を活用し、新たなリサイクル設備や省エネ技術を導入することで、業務の効率化と競争力向上を目指せ、また、地域や企業との連携を強化することで、持続可能な経営の基盤の構築が可能になります。


出所:プラスチック資源・金属資源等のバリューチェーン脱炭素化のための高度化設備導入等促進事業/ 環境省


まとめ

本事業は廃棄物処理を生業としている企業が、資源循環の中核として成長できる絶好の機会です。補助金を活用した設備投資や新技術導入によって、今後のビジネスを強化し、地域や社会全体への貢献度を高められます。

また、環境、経済、社会の3つの側面から持続可能な未来を構築することを目指し、特に、脱炭素・循環型経済・GX推進を柱に据え、地域経済の強化と国際競争力の向上を図る点で重要性の高い事業といえます。

グリーン成長戦略は今後も重要施策として、様々な支援事業が行われると考えられます。今回の概算要求を読み取っていくことで、みなさまの事業計画にも活かすことができるのではないでしょうか?