2016年stratasys 3DプリンターPolyJet(光造形)システムの価格・性能別全一覧
2016年7月21日。世界で最大の3Dプリンターシェアを持つstratasys(ストラタシス)3Dプリンターの価格・性能別全一覧を2回に分けてご紹介いたします。これを読めば、最新ラインナップがはっきり理解できます。業務用の3Dプリンターに興味がある人は、是非参考にしてください。
第1回は、PolyJet(光造形インクジェット方式)システム10種類からご紹介します。その前に基礎知識を説明いたします。長文なので知っている人は読み飛ばしてください。
目次
- 1 stratasys(ストラタシス)の3Dプリンターとは
- 2 高い表現が可能なPolyjet方式(インクジェット方式)について
- 3 3Dプリンター 2つの活用方法
- 4 PolyJet(光造形インクジェット方式)の最適な用途と出力方式
- 5 全世界の2015年までの3Dプリンターシステム利用用途シェア
- 6 PolyJet(光造形インクジェット方式)の主な材質
- 7 PolyJet(光造形インクジェット方式)システム10種類の紹介
- 7.1 1.Stratasys Objet1000 Plus―1億数千円クラス 超大型造形機
- 7.2 2.Stratasys J750―6千数百万円以上クラス 超絶大型フルカラー機
- 7.3 3.Stratasys Objet500 Connex3―5千万円クラス マルチカラー大型造形機
- 7.4 4.Stratasys Objet350 Connex3―4千万円クラス マルチカラー大型造形機
- 7.5 4.Stratasys Objet260 Connex3―3千万円クラス マルチカラー中型造形機
- 7.6 6.Stratasys Eden260VS―2千万円クラス 中型造形機
- 7.7 7.Stratasys Eden260V―1千万円クラス 中型造形機
- 7.8 8.Stratasys Objet30Prime―800万円クラス デスクトップ造形機
- 7.9 9.Stratasys Objet30Prime―600万円クラス デスクトップ造形機
- 7.10 10.Stratasys Objet24―550万円クラス デスクトップ造形機
stratasys(ストラタシス)の3Dプリンターとは
stratasysは世界最大の3Dプリンター企業です。2011年5月にStratasysはObjetと合弁、続いて2011年5月にSolidscapeを買収、2012年1月にはZ Corporationを買収、2013年6月にはStratasysがMakerBotを買収と成長を続けています。
Wohlers Report 2016によると、2015年までの3Dプリンターシステム市場シェアは、1位:41.1% Stratasys、2位:15.3% 3DSYSTEMS、3位:10.0% envisionTEC、4位:5.6% mcor technologiesとなっています。3Dプリンター3大企業は、Stratasys、3DSYSTEMS、envisionTECという市場の認識です。
そんなstratasysが販売している3Dプリンターは、2種類のタイプに分かれています。FDM造形方式(熱溶解積層方式)と、Polyjet方式(光造形インクジェット方式)です。2016年7月21日時点では、FDM造形方式8種類、Polyjet方式10種類の18種類で展開しています。stratasysが扱っていない方式は、粉末焼結法方式です。粉末をレーザーで固めて造形するタイプです。
18種類の推定の価格帯は、上は1億数千万円、下は数百万となっています。今回の記事では、PolyJet(光造形インクジェット方式)システム10種類からご紹介します。もう少しウンチクが続きます。
高い表現が可能なPolyjet方式(インクジェット方式)について
Polyjet方式(インクジェット方式)とは、液状の光硬化性樹脂をインクジェットプリンターのようにドットで吹き付け積層すると同時に、UVランプで露光して硬化させモデルを造形する3Dプリンターの出力方式です。
特長は、多彩な樹脂を扱い、複合素材を利用できることです。透明系樹脂、PP(ポリプロピレン)ライク樹脂、耐熱樹脂、色付硬性質樹脂、ラバーライク樹脂、ABSライクデジタルマテリアルなどの樹脂を扱えます。表面が細かく(積層ピッチ:0.01mm台)、微細な造形が可能です。透明モデルの作成できます。
欠点は、装置の取り扱いや、材料の取り扱いが難しく専任者が必要です。サポート除去や後加工が困難です。温度・湿度・振動など設置環境も厳しく、出力したモデルの経時変化が大きいです。
上位機種では、最小積層厚0.014mmという微細な積層により、滑らかな表面を持ったモデルの造形が可能です。驚くほど精巧なモデルを手軽に実現できます。
マルチマテリアル対応のデジタルマテリアル機能により、最大で1000種類以上の樹脂材料パターンを扱うことができます。82種類の異なる材料を組み合わせ、単一モデルの出力が可能です。最終製品の外観だけではなく、感触の再現も可能になりました。物性や色の異なる2種類の材料を混合させることで、複合材料として出力できます。より完成品に近い物性と質感をもつ、モデルの合計が可能です。
最新機種(J750)では、テクチャーマッピングによるカラーグラデーションにより、リアルなフルカラーの再現も可能です。従来の3Dプリンターでは実現できなかった36万色以上という本当のフルカラー出力が可能になりました。これが本当にすごい機能です。
デジタルマテリアルとテクチャーマッピングによるカラーグラデーションで、どんなアイデアも。どんな質感も実現できます。
3Dプリンター 2つの活用方法
3Dプリンターの活用方法は、大きく分けて2つの分類ができます。ラピットプロトタイピング(RP・Rapid Prototyping)とダイレクトデジタルマニュファクチュアリング(DDM・Direct Digital Manufacturing)です。
ラピットプロトタイピング(RP)とは、3Dプリンターで模型を作ることです。設計や解析結果の3Dデータを短時間でそのまま3Dプリンターで「現物立体化」することで、より速く正確な設計検証を行い、コミニケーションを促進して改良を高速化させてます。大量生産・実使用品の型整形、石灰などで製造する場合の試作、実験などに適しています。
ダイレクトデジタルマニュファクチュアリング(DDM)とは、3Dプリンターで実用品を作ることです。型割などの制限がない自由度の高い最適化設計を行い、3Dデータからそのまま3Dプリンターで製造することができます。革新的な機能とデザイン、重量削減などを実現します。従来にない少量生産や製造用治工具のに適した新しい工法です。
PolyJet(光造形インクジェット方式)の最適な用途と出力方式
精密で多彩な造形ができるPolyJet方式でラピットプロトタイピングした場合と、ダイレクトデジタルマニュファクチュアリングした場合で、それぞれ最適な用途が異なってきます。以下のような用途をイメージ頂くと理解が深まります。
Polyjet方式(インクジェット方式) + RP
↓
・試験/実験治工具/部品
・ロボット/機械実用部品
・製造用治工具
・少量生産/実用部品
・計測用固定具/検具
に最適です。
Polyjet方式(インクジェット方式) + DDM
↓
・医療/歯科実用器具
・撮影用衣装/小道具
・ディスプレイ/アート/ファッション実用品 に最適です。
全世界の2015年までの3Dプリンターシステム利用用途シェア
世界的にどのような用途で3Dプリンターが使われているのでしょうか。一番多いのは、ダイレクトデジタルマニュファクチュアリングです。高性能な3Dプリンターは、試作や検証用途より、直接部品として利用するビジネスモデルのほうが、主流になってきているとも言えます。
1位:32.5% ダイレクト部品生産(DDM)
2位:16.2% 組立・アセンブリ確認
3位:10.1% 教育・研究
4位:8.5% 外観形状確認
5位:8.3% 鋳造型
6位:8.2% プラゼンテーション用モデル
7位:7.4% 試作型
8位:7.2% 型部品
9位:1.5% その他
※Wohlers Report 2016より
3Dプリンターシステム業界別出荷先シェアも見てみましょう。特定の産業だけが高い分けではなく、その分野もそれなりの規模を持っています。政府軍事・建築系が思ったより小さく、むしろ一般的に身近な技術になってきたという証拠でもあります。
1位:19.9% 産業・事務機器
2位:16.6% 航空・宇宙
3位:13.8% 自動車
4位:13.3% 消費者製品・家電
5位:12.2% 医療・歯科
6位:10.5% 学術・研究機関
7位:5.9% 政府機関・軍事関係
8位:3.1% 建築
その他:4.9%
※Wohlers Report 2016より
PolyJet(光造形インクジェット方式)の主な材質
モデルによって使用できる材質が異なります。単純な素材紹介です。また組み合わせで複合素材を作ることも可能です。
硬質色付き樹脂
硬質透明樹脂
硬質半透明樹脂
マルチカラー
硬質樹脂
PPライク樹脂
ABSライク樹脂
ラバーライク樹脂
高耐熱樹脂
生体適合性樹脂
歯科用樹脂
PolyJet(光造形インクジェット方式)システム10種類の紹介
ラインナップは主に造形サイズで分かれています。デスクトップサイズが3種類、中型機が3種類、大型機が4種類です。一番大きなモデルから紹介してゆきます。推定は本体価格ではなく、フルオプションにした場合のざっくりとした推定価格です。詳しくはお問い合わせください。大型造形機ほど多様なマテオリアルをサポートして生産性に優れています。
1.Stratasys Objet1000 Plus―1億数千円クラス 超大型造形機
多数のマテリアルをサポートし、自動車・航空宇宙産業など大規模な製造に最適な超大型造形機。造形サイズ1000×800×500mm。同時に14種類の樹脂。積層ピッチ16μmです。
http://www.fjtex.co.jp/hansoku/products/printer-supply/3d-printer/stratasys-objet1000-plus/
2.Stratasys J750―6千数百万円以上クラス 超絶大型フルカラー機
多数のマテリアルと硬化樹脂をサポートし、最高のフルカラー性能であらゆる用途に使える超絶大型フルカラー機。造形サイズ490×390×200mm。同時に6種類の樹脂。積層ピッチ14μmです。
http://www.fjtex.co.jp/hansoku/products/printer-supply/3d-printer/stratasys-j750/
3.Stratasys Objet500 Connex3―5千万円クラス マルチカラー大型造形機
多数のマテリアルをサポートする多様性と汎用性に優れた大型造形機。造形サイズ490×390×200mm。同時に6種類の樹脂。積層ピッチ16μmです。
http://www.fjtex.co.jp/hansoku/products/printer-supply/3d-printer/stratasys-objet350500-connex3/
4.Stratasys Objet350 Connex3―4千万円クラス マルチカラー大型造形機
多数のマテリアルをサポートする多様性と汎用性に優れた大型造形機。造形サイズ340×340×200mm。同時に6種類の樹脂。積層ピッチ16μmです。
http://www.fjtex.co.jp/hansoku/products/printer-supply/3d-printer/stratasys-objet350500-connex3/
4.Stratasys Objet260 Connex3―3千万円クラス マルチカラー中型造形機
多数のマテリアルをサポートする多様性と汎用性に優れた中型造形機。造形サイズ255×252×200mm。同時に3種類の樹脂。積層ピッチ16μmです。
http://www.fjtex.co.jp/hansoku/products/printer-supply/3d-printer/stratasys-objet260-connex3/
6.Stratasys Eden260VS―2千万円クラス 中型造形機
生体適合性樹脂や歯科用樹脂など水溶性を含む13種類のマテリアルをサポートする中型造形機。造形サイズ255×252×200mm。積層ピッチ16μmです。
http://www.fjtex.co.jp/hansoku/products/printer-supply/3d-printer/stratasys-objet-eden260svs/
7.Stratasys Eden260V―1千万円クラス 中型造形機
生体適合性樹脂や歯科用樹脂など水溶性4種類のマテリアルをサポートする中型造形機。造形サイズ255×252×200mm。積層ピッチ16μmです。
http://www.fjtex.co.jp/hansoku/products/printer-supply/3d-printer/stratasys-objet-eden260svs/
8.Stratasys Objet30Prime―800万円クラス デスクトップ造形機
生体適合性樹脂や歯科用樹脂など水溶性を含む14種類のマテリアルをサポートするデスクトップ造形機。造形サイズ264×192×148mm。積層ピッチ14μmです。
http://www.fjtex.co.jp/hansoku/products/printer-supply/3d-printer/stratasys-objet24-30pro-30prime/
9.Stratasys Objet30Prime―600万円クラス デスクトップ造形機
硬質樹脂や高耐熱性樹脂など8種類のマテリアルをサポートするデスクトップ造形機。造形サイズ264×192×148mm。積層ピッチ16μmです。
http://www.fjtex.co.jp/hansoku/products/printer-supply/3d-printer/stratasys-objet24-30pro-30prime/
10.Stratasys Objet24―550万円クラス デスクトップ造形機
強度に優れた1種類の樹脂をサポートするデスクトップ造形機。造形サイズ234×192×148mm。積層ピッチ28μmです。
http://www.fjtex.co.jp/hansoku/products/printer-supply/3d-printer/stratasys-objet24-30pro-30prime/
大型造形の予定が無く、マルチカラーの利用もなければ、Stratasys Objet30Primeがあれば、さまざまな樹脂から生体適合性樹脂や歯科用樹脂まで利用でき積層ピッチ14μmと精度も高いです。
マルチカラーではなくフルカラーとテクスチャマッピング機能を利用したい場合は、Stratasys J750が必要になります。Stratasys J750のテクスチャマッピング機能は驚愕です。実物を見ると驚きます。
何よりも生産性と造形サイズを重視するならStratasys Objet1000 Plus(造形サイズ1000×800×500mm)です。
Stratasys 3Dプリンターについてご不明な点はお気軽にお問い合わせください。